★ 地元の南山小学校3年生の授業で、赤い靴の女の子きみちゃんのお話をしてきました。3年生の子供たちはちょうどきみちゃんの亡くなった歳と同い年です。
母かよさんは未婚の母、幼子を抱いて激寒の北海道に渡り苦労してきみちゃんを育てますが、やむなく3歳のきみちゃんをアメリカ人宣教師ヒュエット夫妻に託します。ヒュエット夫妻が帰国の時、当時
不治の病だった結核のため長い船旅ができず、麻布十番にあった孤児院に預けられたのは5歳。薬石効無く9歳の短い生涯を閉じたのは明治44年9月でした。
自分たちと同い年で亡くなったきみちゃんのお話を静かに聞いていた子供たち。
「きみちゃんは苦しい時に『お母さん』って呼んだよね、きっと。その時、生みの親のかよさんを思い浮かべたかな、育ての親のヒュエットさんかな。もし君たちが病気になったら『お母さん』って呼ぶかな、『お父さん』って呼ぶかな」
「両方、お父さんもお母さんも」
親子一緒に暮らせるよろこびを少しでも感じとってくれたらいいのですが。
少し時間があったので商店街の街路樹の話をしました。麻布十番に植栽された街路樹は「かつら」「はなみずき」「こぶし」「やまぼうし」「もみじばふう」「けやき」「とちのき」の七種が地域別に植えられています。それぞれが紅葉し落ち葉し始めたのですが、種類ごとに紅葉のし方も落ち葉の時期も違います。また、同じ種類の木でもそれぞれ違っているのです。子供たちに木々の違いを話しながら
「君たちもみな一人一人違うね、金子みすヾという人の詩に、『みんなちがって、みんないい』という詩があるんだけど・・・」
「知ってる〜!」
「えっ、金子みすヾ、教科書にあるの?」
わたしと小鳥とすずと
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、
たくさんうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
教室は子供たちの大合唱でした。「もうひとつ、金子みすヾの詩で『こころ』というのが・・・」
「知ってる〜」
こころ
おかあさまは おとなで大きいけれど、・・・・。
3年生が金子みすヾを暗唱してくれたのに驚きました。「おかあさまのおこころはちいさい」ってほんとかな?こどもたちは何時の間にか大きく育っていきます。それを伸ばすかどうか、おかあさま、おとうさまの大きなこころですね。